2009年2月26日木曜日
pieces of love Vol.1 つみきのいえ [DVD] 加藤久仁生
ナレーション無しのものを見ました。
様々な評がありますが、とりあえず自分の思いとしては以下の通りです。
私は初め、この作品の感想を言葉にしようとすると、
その感じた想いが壊れてしまうような、そんな気がしました。
それはきっと、私の若輩ぶりがそうさせている、ということでもあるでしょう。
しかし私にとってのこの作品は、悟りを促すものでもなければ、
大きな感動を与えるものでも、強いメッセージを感じるものでもありませんでした。
ただただ、感慨深く、心地よいものでした。
この感じ方が、作者の意図を汲むものであるかは分かりませんが、
あるいはそういった作品だったのかとも、と思っています。
個人的には、最後の食卓のシーン、終わり方にとても好感をもちました。
BGMもマッチしていて、世界観や一つ一つの場面によく合っていたように思います。
つみきのような家は、おじいさんの人生であり、思い出となるもの。
海面が上昇することについては、温暖化との関連という言葉もちらと耳にしましたが、私には、過去と現在の境界といったイメージの方がしっくりときました。
監督のコメントからも、温暖化はイメージの着想において結びついたものという印象を受けました。
主役のおじいさんは海に潜り、過去に暮らした家々を見ては昔のことを回想してゆきますが、彼の人生は格別数奇なものではありませんし、最下に行きついて、何かとても特別な出来事があるわけでもありません。
画面に展開されている世界にあるのは、悲しいこと、辛いこと、嬉しいこと、楽しいこと、その上で今の自身がいるという当たり前の事実。
人の身の上を過ぎる「時」の無常感。
けれど静かに、優しく描かれるそれは、見た後に私の過去をも、優しく思い返させました。
この上ないほど自然に物語に引き込まれ、本当に様々な気持ちが、12分という短い時間の中で巡ります。
穏やかに示される「生」は、溶けるように私の心に色をつけました。
この作品の魅力は、多様な人の心を繊細に震わせる、それなのだと思います。
難しく何かを読み取ろうとするのではなく、考えるのでもなく、素直に感じるまま、心で受けとめるのが一番と言うに適する作品なのではないでしょうか。
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